公開日: 2023/04/30
根室や風蓮湖まで来たら、必ず寄りたいのが「野付半島」です。道の駅「スワン44根室」から国道244号線を約1時間北上すると、日本最大の砂嘴(さし)である野付半島の入口に到着します。ちなみに砂嘴は沿岸流に運ばれた砂が静水域で堆積して形成される嘴型の地形だそうです。
この野付半島ですが、野生動物などが多く生息しバードウォッチングなどでも有名ですし、浸食された砂嘴のあった林が立ち枯れたまま残り、この世の終わりのような荒涼感のある風景が人気の観光スポットになっています。
夏でも人気の観光スポットなのですが、冬は砂嘴に囲まれた野付湾が凍結するため半島内を走る北海道道950号線を走っていると海に突き出た半島を走っているのに、行きは左側の海が、帰りは右側の海が凍結し、逆側の凍らない海には状況によっては流氷と北方領土の国後島が見えるという幻想的な風景が広がります。
筆者たちは半島の付け根からクルマで約15分の「野付半島ネイチャーセンター」にクルマをとめて、立ち枯れたトドマツの林が見えるトドワラまで徒歩で向かいます。ネイチャーセンターには、その日の野生動物の出現状況が詳細に紹介され、ネイチャーツアーなども用意されています。
また野付半島に入ると道路沿いには、人間よりもエゾシカのほうが完全に多いレベルでシカたちが出現。大きな個体では200kg近くなるエゾシカとの交通事故はクルマが全損することも珍しくないので、走行には注意が必要です。
毎年のように野付半島に行くのですが、不思議なのが「海は凍らないはずなのに……」です。気になって調べてみると野付湾は野付半島に囲まれた波の弱い内海だからだといいます。確かに半島の逆側の海はまったく凍っていません。さすがに北海道でも海が凍るのは、野付湾くらいだそうです。
ネイチャーセンターからトドワラへの遊歩道は、野付湾に向かって歩くことになるので、雪原との見分けは付きづらいですが、上に掲載した写真のように凍った海を眺めながら進むことになります。 風景を眺めているうちに「なんで、ここにはなんにもないのだろう」となりますが、凍っているだけで海面なので当たり前です。
ちなみにネイチャーセンターからトドワラまでは徒歩で片道30分程度。往復でも1時間程度なのですが、筆者たちは到着したのが14時前と遅かったのもあるのですが、珍しい風景や動物たちにひかれて、あちこち撮影しながら、歩いたため帰り道には凍った海の向こう側に沈む夕日を撮影することもできました。
野付半島は道民の筆者でも普段の生活では目にしないような光景が次々に現れるので、ぜひ訪れてもらいたい冬の絶景スポットになっています。