公開日: 2022/10/22
事実、バンキャンプスタイルを好んで実践しているキャンパーさんはどんどん増えています。そういった方々が乗っている自作のバンライフカーを、これから始めたいと考えている皆さんに見てもらおうと、「VANCAMP IS MY JAM」というイベントも立ち上げました。
初回のイベントには展示車両として、12台のバンライフカーが集まり、オーナーさんたちが実際にキャンプをしている様子を自由に見学できるというインスタレーション形式のイベントを開催しました。この「VANCAMP IS MY JAM」というタイトル、決定するまで実はかなり悩みました。
イベントを仲間内だけの閉鎖的なものにはしたくなかったし、かと言って大きなステージを組んだ音楽フェスでもないし、タイトルから伝わる空気感も大事にしたいという理由もありました。本当に悩みに悩み、1週間くらい眠れぬ夜を過ごしてからふと思ったのは、ぼくたちはバンと一緒にキャンプをすることが楽しくて仕方ないんだ!ということをストレートに表現すれば良いということでした。
そしてその原点回帰とも言える気持ちをド直球で表現したのが「VANCAMP IS MY JAM」というわけです。
(肝心な空気感伝わってます??笑)
自分たちが主催するものとしては初めてとなったこのイベントは、一般のお客様には気軽に遊びに来てほしいと無料での開催としたのですが、実際に来場してもらえる保証なんてないですし、天気もどうなるかはわからず、開始直前まで内心はドキドキ。今思えば、展示車両のオーナーさんたちをアテンドしているときも、そんな気持ちでちょっと上の空だったような気がします。
でもそんな心配はよそに、開場時間直後から飛び込みの取材依頼や、SNSを見てイベントを知ったというご年配のご夫婦、これからバンの内装制作をスタートさせるので参考にしたいと、遠方よりお越しいただいた方もいらっしゃったりと、あっという間にあちこちで大人の笑い声や、子どもたちのはしゃぐ声が聞こえてきたんです!
展示する側とそれを見に来たお客様側との距離が近い、とてもアットホームなイベント。まさに思い描いていた理想的な光景でした。
夜は展示車両のオーナーさんたちだけでのキャンプタイム。クルマの中で調理をして食事を取る方もいれば、バックドアを開け放った開口部に腰掛けてカップラーメンをすする人も。食事はそっちのけでモルックに熱狂する人たちもいましたね笑
また、イベントを客観的に見て感じたこととして、ぼくたちバンキャンパーのスタイルに共通して言えるのは、クルマのバックドアを開けて、外にイスをポンっと置けばもうそれだけで設営は完了してしまうということでした。
クルマの中でくつろぐことが前提のスタイルなので、テントを張る必要がないわけです。これはとてもメリットだと思いませんか?
もちろん、クルマの横にテントを張るという選択肢もありますし、カーサイドシェルターを使用するのもアリです。雨なら無理に外へ出ずとも、クルマの中でのんびり過すということも可能になります。
キャンプ場へ来たとはいえ「自分の部屋」にいるわけですから。これでもう濡れたテントを丸めてビニール袋に突っ込むこともなくなりますし、帰宅してからの乾燥作業も必要ありません。なんというか、めちゃくちゃミニマルでスマートなキャンプスタイルなのです。
このバンキャンプという選択肢を持つことで、アウトドアでの楽しみ方は無限に広がっていくんじゃないかと考えるようになりました。
ではどの様に「無限に広がる」のか、ぼくのケースで挙げるとすると、昨年の夏、娘と二人で長野県と岐阜県にまたがる乗鞍岳登山へ出かける機会がありました。
野鳥好きな娘に雷鳥を見せてあげたいと思い、いざ神奈川県を出発。マイカー規制のため登山口最寄りのバスターミナルの駐車場にクルマを停めて、車中泊で登山の朝を迎えました。その際に、車内で食事や着替え、装備を整えられたことでスムースにバスへ乗車でき、無事に登頂も果たしました。
そして下山しクルマへ帰ってきたわけですが、これはある意味クルマがベースキャンプとして機能していた事になります。
また、別の例を挙げるとすると、キャンプの際にどうしてもネガティブな要素となる雨。キャンプ場へ出発する日の朝に雨が降っていたら、キャンセルの連絡をされる方も多いんじゃないでしょうか。
でも、そこにバンキャンプという選択肢があるだけで、雨の日にも躊躇すること無く出発できて、むしろこのネガティブキャンプにこそ本領発揮するということを感じさせてくれます。
家族構成や車内空間の広さによる部分もありますが、雨が降っていようと強風が吹いていようと、鉄の鎧をまとった空間に流れる時間はとてもゆったりしたもので、そういった悪天候を微塵も感じずに思い思いに過ごすことができてしまうというわけです。
この様に、クルマを拠点とすることで、よりアウトドアでの活動を楽しむためのきっかけにもなり得ますし、なにより家族と一緒に、同じ空間で同じ時間を共有するというまさにプライスレスな体験がとても身近なものにもなります。
ソロならウイスキーを傍らに少し難しい小説を読んでみたり、ファミリーならボードゲームを広げてみたり、それぞれのスタイルに合った過ごし方を探していくというのも、楽しみの一つになるんじゃないでしょうか。
そうそう、肝心の雷鳥はと言うと、結局出会えることはありませんでした。下山中の会話の中で、またリベンジしようね!と約束したものの、実はまだその約束は果たせていません。
残念がる娘がとても可哀相で、売店で売られていた夏毛の雷鳥のぬいぐるみをプレゼントしたら、もうそれで満足したみたいですけど笑(了)
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