公開日: 2022/09/24
床とベッドが形になったことで、夢にまでみた憧れの「VANLIFE」への第一歩を踏み出したぼくは、キャンプはもちろんのこと、地方出店での長距離移動には家族も同行し、車中泊旅さながらの家族時間を過ごすこともできるようになりました。
改めて思い返してもこれは本当に楽しかった! なんというか、自分が仕上げたクルマを中心に、仕事と遊びが同時並行的に進んでいるような感覚?? んー、ちょっとうまく表現できませんが、生活の中にクルマというピースがピタッとはまったような、今までに無かった感覚があり、とにかく全てが充実していた旅だったように思います。
これまでは “飛車” に乗って前後左右に移動していただけでしたが、DIYを通して、“龍”に成ったわけです。そんな旅から戻り、時間が出来たタイミングでいよいよ天井のウッド化にも着手しました。
そうです。なんと言ってもこれがやりたかったんです! ぼくは!
海外の写真を眺めていても目に入るのは木材を使ってカスタムされた内装や天井ばかり。VANLIFE = ウッド といっても良いくらい、切っても切れない関係だと思います。
手に入りやすく、かつ加工もしやすい素材ということもあるかもしれませんが、木の持つ温かな空気感は、移動しながら生活するというノマド的VANLIFEの象徴なんじゃないかとも思います。
なので当然、天井はウッド仕様にするとクルマを購入する前から決めていました。肝心な木材はというと、近所のホームセンターで10枚束1,200円くらいで売られていた安い野地板を選び、無塗装でラフな印象のまま使用しました。
一般的には羽目板を使って住宅の壁面の様に綺麗に仕上げるパターンが多いと思いますが、それだと収まりが良すぎる気がして、自分のバンに落とし込んで考えると面白みがないよなぁ。と、変なひねくれ精神が顔をのぞかせたわけです。
湿気や乾燥で伸びたり縮んだり反ったり捻れたり。そんな「あるがままの自然な姿」を見せてくれる木材がいいじゃないかと、それはそれは安い野地板をチョイスしたわけですが、完成形を見た妻からは「温泉のサウナ室みたい」と一蹴されてしまいました爆
なにはともあれ、自分好みのカタチにバンビルドして、楽しい「バンライフ生活」を送っていましたが、車検のタイミングで、全てを作り変えてみようとリフォーム計画をスタートしました。
まず最初に行ったことは、内装を作り上げてからの2年弱、ソロキャンプやファミリーキャンプを通して気になっていた点を書き出してみました。そうすると、大きく分けて2つの要改善点が浮かび上がってきたのです。
これは誤算でした。とりあえずで設置したとはいえ、ビニール素材なので濡れても大丈夫だろうと思っていましたが、土や泥汚れは落ちにくかったです。
屋内用の素材だから当然ですよね。(車内を土禁にされる場合はオススメですよ!)
もともと4列シートの10人乗り仕様だったのですが、後部シートがあることでバックドア側から車内に上がることが出来ませんでした。
これは地味に不便で、車内のものを取りたい時は、いちいちスライドドアの方に回り込む必要があり、リアサイドで過ごす時間が多いぼくのスタイルにはちょっとしたストレスでした。
この2点を改善すべく、車内のリフォームを開始! まず、新しい床材にはPVC素材をチョイス。一般的に店舗などで使われる「重歩行用」とされるもので、水や汚れに強い素材。
ぱっと見、無垢材に見えるようなウッド調のものも数多くあるので、自分好みの素材を選ぶのも楽しいですよ。カッターで切れるので、長さや幅の調整も簡単ですし。
土やホコリはほうきでサッと掃き出せるし、泥や水も拭き取るだけで楽に掃除が出来るように改善しました。ぼくの場合、土足のまま車内で過ごしたかったということもありますが、キャンプ場で土や砂利が車内に入り込んでも気にしなくていいというのは、結構メリットなんじゃないかと思います。
そしてお次は後部からのアクセス問題です。ベンチ型シートなので構造的に撤去する以外方法はありませんでした。なので、潔く後部シートを全て撤去し、後ろからも乗り降りできるよう「ウォークスルー型」に改善。
基本的にバックドアを開けた状態のリア側でキャンプすることが多かったため、リアから運転席まで障害なく車内を移動できるウォークスルー型は、自分の中で理にかなった革命的スタイルとなりました。
これは本当に楽なのでオススメですよ!
最初の形態を作りあげ、実際に運転して車中泊やキャンプを繰り返すことで、自分のスタイルに必要なものや不要なものが見えてきたわけですが、そもそもぼくの場合は、「便利」なキャンピングカーを作りたいわけではないので、少しくらい不便なままでも良いのかなと割り切って考えています。
本当の意味でのバンライファーの様に車内で生活するわけではないので、給水や排水、エアコンやFFヒーターといったものは不要だし、極端に言うと、ただクルマという「箱」があればそれでも良いわけです。
むしろ狭いだけの空間の方が意外と居心地が良かったりするもので、これはテント泊に近いものがあるのかもしれません。そういった意味では、テントの代わりにクルマで過ごすという、バンキャンプに通ずる思想を、最初にDIYに着手したその時点ですでに構築していたのかもしれません。
自分で手を加えることで完成する、世界に1台だけのバン。理想とする完成形にちょっとでも近づけるため、クラッシュ&ビルドしながら少しずつDIYしていくのも、バンライフやバンキャンプを楽しむための1つの要素だったりします。
良いきっかけがなく最初の一歩が踏み出せない。そんな方は、まずゼログラビティの練習からはじめてみるのもアリかもしれません笑 とにかく「前のめり」な気持ちと、それを突き動かす勢いが何より大事だったりしますからね。(了)
■「小濱 潤平」の記事一覧
・バンキャンプという「クルマ」と「キャンプ」の新しいカタチ。ぼくがバンキャンプを始め、ハマった理由
・僕の愛車遍歴と現在の愛車に中古のバン、三菱「デリカ スペースギア」を選んだ理由