公開日: 2022/05/16
桜を求めてまず向かったのは、東京の次に満開を迎える予定の名古屋。
名古屋城の周りを桜と人が囲み、名古屋城の堀には苔と美しい桜の息が流れていた。名古屋の後は更に南に向かい、四国の愛媛や徳島、淡路島。そして、桜の開花にあわせて石川、岐阜、山梨、宮城をめぐった。
各地をめぐって感じたのは、桜並木や桜の名所はもちろん美しい。けれど、一番の気づきは、道中でふとした瞬間に目に入る道路沿いに咲く桜だったということ。サプライズのプレゼントの様な喜びと興奮だった。
次第に桜の名所を探すと言うより、桜を探す様に運転する事が楽しくなっていった。毎日色々な地域を運転するからこその、桜の楽しみ方。
桜は夏に花芽が形成され、休眠し、葉が落ち、低温によって休眠から目覚め、気温が上昇することで開花すると聞いた。理解はした、理解はしたけれど、謎。当たり前のことなのだろうけれど、不思議。人間がなぜ生まれてきて、なぜ生きられるのかと同じくらい不思議。
夏に花芽が形成されるという事は、開花はやはり南の方が早そうだ。休眠にも個体差がありそうだし、葉が落ちるにも風や栄養によって、太陽光の当たり具合によっても変わるであろう。低温が長引いて気温上昇が遅くなれば、例年通りにはいかない。
だから人は毎年毎年桜の開花にワクワクし、感動するのかな。
私はそんな予想不可能なコトや、そんな予測不可能なライフスタイルに魅力を感じる。バンライフという毎日変化する暮らしを楽しみ、予想不可能なハプニングやサプライズな出来事を歓迎する。
毎日自分が動けば飽きることはないし、何かにチャレンジすれば、そこで出あう人々もそんな事に惹かれて集まった人々だから、素敵な出逢いにつながる。人も桜の木も各都道府県も、みんな違っていて、みんな良い。
四国の高知では桜の花びらが舞い、川を流れていた。満開期を終え、散る時期ならではの美しさだった。
石川県の金沢では、日本らしい景色を楽しめる「兼六園」で、庭園をバックにお花見。山梨県では、もちろん富士山をバックに道中お花見。
今年、最も驚かされた桜の景色は、4月の下旬、5月に入る1日前に行った、宮城で行われた「荒吐(あらばき)ロックフェス」でのこと。雪予報ではあったけれど、想像を上回る雪で2月に戻ったかのような雪景色をバックにお花見をした。
日本は、縦に長いから天気も温度も四季の移り変わりも地方によって様々で、山を挟んだだけで、本当に同じ時が流れているのか疑いたくなるような「時差」がある。
宮城県で見た山は、まだまだ溶けそうにないほど雪が積もっていて、桜の木にも雪が積もり、車にも雪が積もった。桜の時期に降る雪は初めてで、雪山をバックにお花見をするという初めての経験を楽しめた。
桜を追いかけていく道中で、新しい桜の楽しみ方を見つけた。
たまには花より団子。お花見をしながら、車内で茶道の道具を使い、お茶をたてて和菓子を頂く。お菓子は桜の練り切り。この時間は、とても心が豊かに洗われた。
この先も、景色の良い場所を見つけながらお茶をたて、美味しそうな和菓子を見つけてはお茶をたてようと思う。
たまに、外国の方々は、日本でどんなバンライフを楽しんでいるのだろうと考える。日本に興味を持ってくれて、日本を選んでくれて、バンで日本を旅する。「日本らしさ」を、感じてもらえているだろうか。
日本人が忘れている「当たり前の日本」や「郷土料理」。「地球の歩き方」のように「日本の走り方」という本があれば、是非とも見てみたい。
まだ始めて間もないけれど、バンライフにだいぶ慣れを感じて新鮮さが薄れてきたように感じる時もある。始めた頃は、バンでの暮らし、車で暮らすことに慣れる日がくるのか。そんな感覚になるのは、遠い先のことだろうと思っていた。
改めて、人間の順応性に驚かされている。