公開日: 2023/10/26
事ここに至ってようやく悟った。運命だか天中殺が導いているのだ、ここで安らかに眠れ、と。
ならば粛々と遭難の準備に…、ではなくて車中泊の準備に取り掛かろう。と、その時、シャンシャンシャンとサンタクロース&トナカイの音が聞こえてきた。後ろから軽やかなリズムで。振り向けば、除雪車がやって来たのである。除雪車の通ったあとには、モーゼが海を割ったがごとく、雪がなかった。
チャンス!
待って、置いてかないでー! と走り出し、除雪車の真後ろにくっついて町まで下ったのだった。
大雪の日に除雪車がやってきて、そのあとには雪がないとは、これを奇跡と呼ばずに何をミラクルと呼ぶのか——。この勢いでスタッドレスタイヤを買おう! と意気込んだが、次回「そんなタイヤはありません!」の巻。
ついてないときはついてないもので……。(第7話へ続く)
■本連載のこれまでの話、著者プロフィールはこちら:https://www.mobilitystory.com/article/author/000028/
どこもかしこも雪で白いのに、車が汚くなっていくのはなぜ?