公開日: 2023/10/15
京都府唯一の村にある道の駅「お茶の京都みなみやましろ村」
宇治茶の産地といえば京都。でも宇治市にはほとんど茶園がないって知っていましたか? 実は生産地は京都府の他に奈良県、滋賀県、三重県などにもまたがっていて、宇治地域に由来する製法で加工されたものが宇治茶の名称で販売されているのだそうです。今回紹介する道の駅「お茶の京都みなみやましろ村」のある南山城村も、その生産地のひとつです。
村民2500人、面積のおよそ7割が山林で、主要産業はお茶の生産一択。ともすれば過疎と高齢化で衰退しかねない小さな村ですが、道の駅の開業はその状況を打破する大きなチャレンジになりました。道の駅が生産者の暮らしを下支えし、雇用を生み、お茶の発信拠点になることで、結果的に村民の暮らしを守る試みは運営会社のコンセプトの「村で暮らし続けることを実現する」にも表れています。
麺に抹茶が練りこまれた「村抹茶そば」(900円)
画像提供:お茶の京都みなみやましろ村
多種多様な産品を取り扱う道の駅も多い中で、この道の駅が取った戦略はお茶の一点突破。店内を見渡すとありとあらゆる商品にお茶が使われています。
高価な抹茶を贅沢に使ったプリンやパウンドケーキ、濃厚な味わいの抹茶ソフト、レストランの抹茶そばなど数え上げたらきりがありません。そしてそのほとんどが道の駅で開発された商品。人気すぎて繁忙期には生産が追い付かなくなることもあったそうです。
春摘みの貴重な抹茶を使った「むらちゃパウンドケーキ」
画像提供:お茶の京都みなみやましろ村
その人気の秘密は原材料をケチらない本気度。春摘みの貴重な抹茶を使用していて、一口食べただけでお茶の香りと独特の苦みが感じられるレベルまで練りこんでいます。「茶どころの余裕」と言っていますが、色や味でごまかさないクオリティーがファンを生み、新たな商品を開発する原動力になっています。抹茶以外にもほうじ茶、紅茶、煎茶なども季節限定商品もあるので、こういった手法も「また行きたい」というリピーターに繋がっています。
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かく言う私も関西遠征の際には必ず立ち寄ってしまうので、まんまと術中にハマったひとり。「お茶しかなかった」を逆手に取った発想で「南山城村に行けばお茶がある」に繋げた道の駅には、研ぎ澄まされた強い個性を感じました。
・施設情報ページ:https://www.mobilitystory.com/michinoeki/detail/kyoto/post_744/
・公式HP:https://michinoeki.kyoto.jp/
・京都府の道の駅一覧:https://www.mobilitystory.com/michinoeki/kyoto/
道の駅「おばあちゃん市・山岡」
売り場の作り方、並ぶ商品、食堂のメニューはそのすべてに意味やコンセプトがあって、道の駅の場合は背景に地域色が見え隠れします。そういった視点で俯瞰してみると、その道の駅の「個性」がおぼろげながら見えてきます。
また今回は割愛しましたが、地域が元気な場所には必ず道の駅ひいては地域活性化のために尽力するキーマンがいます。目に見えるものではありませんが(たまに売り場に立っていたりしますが)、そういった人たちの思いが詰まった場所が道の駅だと思うと、見方も少し変わってきます。
皆さんもぜひ地域色あふれる道の駅を見つけてみてください。
■著者プロフィール、この著者のこれまでの記事は:https://www.mobilitystory.com/article/author/000031/