フィアットデュカト「バンライフ」モデル制作開始！ 1カ月半の制作期間でお披露目に間に合うか!?～キャンピングカーができるまで～【特別連載#3】

公開日: 2023/01/31

最初の実車確認中に見つかった最初の障害

スクールバスでの打ち合わせを終えた両者は、スケール（メジャー）を手に車内の確認に向かいます。阿部代表からデュカトの設備の解説とともに、デュカトの荷室の広さやキッチンやベッドを設置する場所のサイズを確認しているその時、最初の障害が発見されます。

“初めて車を確認した時に、広いなーと思いながら見ていたのですが、壁のフレームの一部が他のフレームよりも左右それぞれだいたい5cmくらい、左右あわせると10cmくらい出っ張っていたんですよね。

たかが10cmと思われるかもしれないのですが、一部が出ているとそこがある意味で基準になってしまう。これは結構問題でしたね。”

制作開始前に見つかったこの障害、どのように解決したのかと言うと、「削ることも外すこともできないところだったので、特に上部の出っ張りはそのままにして、壁の幅を調整することで対応しました。なのでキレイな四角ではなく、上半分の横幅が少し短くなっています」と、出っ張りに合わせるために他の箇所のサイズを変更することで対応したそう。

画像を見てもらえると、上部分が少し丸みを帯びていることがわかります。特別連載#2でご紹介した大地さんのインタビューの中で「完成形をイメージしてから作り始めるのって、実は難しい」と、語っていましたが、「実際に見て、サイズやらの特徴を確認してからでないと作業を進められないところがあるからなんですよ」ということだったのです。

ちなみにこの日から数日以内に、もう一つ障害が見つかります。それは輸入車ゆえ、日本初導入というクルマゆえなのかもしれませんが、デュカトの取扱説明書が英語版で、さらに説明書が左ハンドル用の説明書で、大地さんが制作している日本で展開されるデュカトは右ハンドルだったということ。

“説明書が英語だったことや左ハンドル用のものだったことも実は大変でした。幸い、RVランドさんに確認できたり、画像付の説明書だったので、文章だけでなく画像でも確認しながら進めることができましたけど。”

2022年12月23日、床が完成。徐々に着実に仕上がっていくバンライフモデル

ここからは、キャンピングカーがどのように作られていくのか、制作の様子を画像を中心にお伝えしていきます。

スライドで掲載した2枚の画像は、床の断熱開始から配線、仮木材を設置し、壁面の断熱を開始するところです。ここまでで打ち合わせの日から約1週間。壁面の断熱を開始する前には、壁に設置する窓用、天井に設置するエアコンやマックスファン（換気扇）用に車体のカットも行われています。

「新車なので、カットしなければいけなかったのですが、失敗したら終わりなので、気をつかいましたね」と大地さん。

そして、見ているだけで頭がこんがらがってしまいそうな配線。デュカトバンライフ仕様にはユーザーに旅先でも快適に過ごしてもらえるようエアコンに電子レンジ、冷蔵庫といった生活家電も搭載されるため、配線自体の色や目印を付けながら、整理していきます。

そして断熱材を追加し、壁面を作っていきます。なお、断熱材に使用されているのは、建築でも使われるAclear（アクリア）です。

壁を終えたら、続いては天井。配線を整理し、エアコン、マックスファン、照明を取り付けます。そして断熱を施し、パイン羽目板で仕上げられます。

ウッド化により温かみを感じる天井が完成しました。この段階ではまだ電気が通っていませんが、この#3の後半に照明をつけた車中泊の夜の雰囲気を感じられる画像もご紹介します。

そしてここからは、床の仕上げ。床用の接着剤を塗り、その上にタイルを敷いていきます。

床には、車内に荷物を入れる際等に物を引きずってしまうことも考慮し、傷がつきにくい素材が採用されています。また、壁や天井もそうですが、スライドの2枚目のようにただ並べるのではなく、つなぎ目をあえてずらすことでオシャレな雰囲気に仕上げられるそう。

隅もベース車のフレームにあわせてタイルを調整して貼っていきます。下スライドの3枚目は、一度設置したタイルをはがし、よりフレームの形ピッタリに、隙間なくはまるようやり直したもの。