公開日: 2023/12/16
日本には各地に温泉地が存在します。日本は島国で約7割が山岳地帯ということで、温泉が湧出するところが多く、古くからみなさんに愛されています。
大都市東京から日帰りから1泊2日でも行ける温泉地は多く、急なお休みがとれた時等、都内から小旅行で各地へ温泉旅行に行くことも可能です。有名な温泉地までは、鉄道やバスが通っているところもありますが、アクセスしやすさや道中の景色を楽しむこと、目的地での移動のことを考えると、車でドライブしながらが断然おすすめです。
今回私が紹介したいのは、福島県の温泉地です。福島県も自然豊かな地域でかつ名湯とよばれる温泉地が多数存在します。福島の観光と温泉を楽しみながら旅すると、日頃の疲れやストレスがリフレッシュできます。
福島県は東北地方に属しますが、東北地方の南側に位置します。そのため例えば東京駅から福島県の南端に位置する白河市までで約200km、福島県の県庁所在地である福島市までで約300kmと意外と近く、1泊2日で温泉旅行を楽しむには、ほどよい距離感といえます。
福島県は面積が広く県内でも地域が分かれており、
・主に太平洋側の「浜通り」
・福島市や郡山市などが位置する「中通り」
・会津若松市を中心とした「会津地方」
に区分されます。
高速道路は、中通りを東北自動車道(以下 東北道)が、浜通りを常磐自動車道(以下 常磐道)が通っており、浜通り・中通り・会津地方を磐越自動車道(以下 磐越道)が結んでおります。また、浜通りから山形県方面へとつながっている東北中央自動車道もあり、高速道路ネットワークが充実しており、アクセス面でも温泉を目的としたお出かけにオススメの場所なのです。
福島県の温泉地でもっとも有名なのが「飯坂温泉(いいざかおんせん)」です。飯坂温泉がある福島県飯坂町は、福島県中通りの福島市の北側10kmほどのところに位置し、福島市の観光と合わせて楽しめる温泉地です。
宮城県の鳴子温泉・秋保温泉とともに「奥州三名湯」に数えられ、古くは2世紀ころにヤマトタケルが、江戸時代には松尾芭蕉が入湯したといわれる、歴史ある温泉地です。
温泉街には9つの共同浴場があり、日帰り入浴も宿泊入浴にも対応しているため、予定に合わせて入浴ができるのも魅力です。泉質は単純弱アルカリ性で、無色透明で無臭になります。
また、飯坂温泉の温泉街近郊にはくだもの狩りや直売場が建ち並ぶ地域もあり、福島の名産であるももやなし、りんご、さくらんぼなどを扱っており、人気の観光スポットになっています。
飯坂温泉へは、東北道の「福島飯坂IC」より約15分、東京駅からは首都高〜東北道で約300km、3時間30分ほどでアクセスできます。
福島県西部の中心地となる会津若松市には、「会津東山温泉」という名湯があります。会津東山温泉は、山形県の上山温泉・湯野浜温泉とともに奥羽三楽郷と呼ばれていました。
歴史は古く開湯は8世紀後半といわれており、伝承によると僧侶であった行基という人物が、三本足の鳥に導かれて発見したといわれております。江戸時代には、会津藩の湯治場として栄え、会津若松の奥座敷としても発展しました。
泉質は、硫酸塩泉で無色透明のサラサラのお湯が特徴で、長時間身体全体から心の芯まで温まれます。そのため、老若男女たくさんの方に愛されております。
会津東山温泉のある会津若松市には、こちらも名城である「会津若松城」があり、さらに会津若松市から北へ20kmほどいったところにある喜多方市には、名物「喜多方ラーメン」があり周辺観光も充実しております。
会津東山温泉は、磐越道の「会津若松IC」より車で約20分、東京駅からは首都高〜東北道〜磐越道で約300km、3時間30分ほどでアクセス可能です。
福島県の太平洋側は通称浜通りと呼ばれる地域で、その中心地が「いわき市」になります。いわき市を中心とした地域は、磐城地方とも呼ばれております。そんないわき市にも「いわき湯本温泉」と呼ばれる温泉地があります。
いわき湯本温泉の歴史は古く、開湯は奈良時代といわれており、鎌倉時代には三湯の箱として数えられておりました。明治時代以降は、磐城地方で石炭産業が盛んとなり、石炭の採掘に多くの温泉が湧出したが、温泉の脈を傷つけてしまったことから、1919年に地表への温泉湧出が止まってしまいます。
その後、石炭産業が衰退すると磐城地方は石炭産業から観光産業へシフトチェンジをし、1966年に現在の「スパリゾートハワイアンズ」が開業し、いわき湯本温泉は再び人気を集めることになりました。
現在でも、スパリゾートハワイアンズの他にも、3軒の共同浴場が存在し、その他旅館も充実しており、日帰り入浴、宿泊入浴両方楽しむことができます。
いわき湯本温泉には、常磐道の「いわき湯本IC」からアクセスができます。東京駅からは、首都高〜常磐道で約200km、2時間30分ほどでアクセス可能です。
福島県中通り南部の中心地である郡山市の奥座敷として知られているのが「磐梯熱海温泉」です。磐梯熱海温泉は、いわき湯本温泉・新潟県の月岡温泉とともに、「磐越三美人湯」にも選ばれております。
開湯は800年前といわれており、鎌倉時代の奥州合戦後に、この地の領主となった源頼朝の家臣なる伊東祐長の出身地である伊豆・熱海より、磐梯熱海温泉と命名されたとされています。現在でも、20軒以上の旅館が建ち並び、規模の大きいホテルも多くあります。
泉質は、アルカリ性単純泉の無色透明で、身体に優しく、入浴するとお湯と肌の古い角質が反応して独特なとろとろ感がでて、それにより老廃物が洗い流されて、お肌がスベスベになるとされています。
磐梯熱海温泉には、磐越道の「磐梯熱海IC」でのアクセスが便利です。郡山駅から約20km 30分ほどでアクセスでき、東京駅からも3時間ほど(約260km)でアクセスできます。
会津東山温泉のさらに南側に20km行ったところにあるのが「芦ノ牧温泉」です。芦ノ牧温泉は、その昔たどり着くのが困難を極めたことから、「幻の温泉郷」としても伝えられております。
開湯は、1200年ほどまえに会津東山温泉と同様の行基によって、あるいは弘法大師によって発見されたといわれております。江戸時代までは、地元の方々が利用するだけでしたが、1902年に温泉地までの道路が整備され発展しました。
泉質は、塩化物泉や単純温泉で弱アルカリ性、神経痛や筋肉痛、関節痛などの痛みに効果があるとされております。共同浴場はなく、ホテルや旅館がメインとなります。
芦ノ牧温泉には、磐越道の会津若松ICより車で約20km 30分、東京駅からは磐越道の会津若松ICからアクセスする他、東北道の「白河IC」から一般道の国道289号線と国道121号線を通るルートも便利で、約250kmで3時間30分ほどでアクセスできます。
福島県は、日本の都道府県で北海道・岩手県に次いで、3番めに大きい県です。そのため、とにかく広大で、浜通り・中通り・会津地方で旅先の雰囲気にかなり違いがあります。
なので、ある程度地域や地方を絞って温泉や観光を楽しむと、時間を効率よく使いながらより多くのスポットへいけますのでおすすめです。そのためにも、あらかじめのスケジューリングが重要です。
また、東京を中心とした首都圏から福島県内で近い地域にあたる白河市や須賀川市周辺などにも、温泉や観光を楽しめるスポットがたくさんありますので、時間や予定に限りがある方は福島県の玄関口周辺を訪れるのもおすすめです。
福島県の温泉地は魅力的なところがたくさんですので、ぜひ観光と合わせて東北道や常磐道・磐越道のドライブとともに楽しんでいただけたらと思います。
■この著者のプロフィール、これまでの記事はこちら:https://www.mobilitystory.com/article/author/000017/