公開日: 2023/09/14
新しい道の駅ができると旅の虫がウズウズしてきて、出掛けていきたくなりますが、せっかく訪問するならグルメやお土産だけでなく、その土地ならではのものに出会いたいもの。そのための事前情報収集は欠かせませんが、意外と現地に行くまで分からないことも多く、訪問して初めて知ることも少なくありません(それはそれで楽しいですが)。
さらに新規オープンの場所は、設置した背景まで踏み込んで見ていくと、地域のさまざまな特徴や課題も見えてきて興味深いところです。今回は2023年9月2日、和歌山県海南市にオープンしたばかりの「海南サクアス」を、“道の駅キュレーター流の楽しみ方”で紹介していきます。
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和歌山県36番目の道の駅としてオープンした「海南サクアス」。変わった名称ですが、実は海南の特産品や施設の意図が隠されています。
・さかなの「サ」
・くだものの「ク」
・あそびの「ア」
・そして、市内にある市民交流施設の海南nobinos(ノビノス)のように多くの人が集まる「巣(ス)」。
からその名が付いたのだとか。
全国にはさまざまな名称の道の駅がありますが、訪問前に由来を調べると地元の道の駅に対する思いや、意外な発見もあって面白いです。
海南サクアスは、国道42号に隣接。国が管理する、いわゆる直轄国道に面しているので、駐車場やトイレ、情報発信施設などは国の事業として整備されていて、売店やフードコートなど地域振興施設部分が海南市で建設した部分になります。
こういった整備方法は道の駅独特のもので、「一体型(※)」と呼ばれています。自治体側は事業費が軽減できるメリットがある反面、計画から完成まで長い時間と交渉を要するので、道の駅を作りたいと市長が公言しても実際実現できるのは一握りです。外野の我々はあれこれ言うだけですが、担当者の心情を思うと無事完成して胸をなでおろしているんじゃないですかね。
※市町村ですべての整備を行う方法は「単独型」と言います。
今回の立地で特徴的なのが、新規の道路の開通を想定している点です。現在工事が進む、有田市と海南市を結ぶ「有田海南道路」(道の駅までは2025年春開通予定)にも面していて、大型用の駐車場が20台と同じ和歌山県内の道の駅と比較しても多めのスペースを割いています。これは物流や防災のハブとしての機能を持たせようとする意図が垣間見えます。
メイン施設の物産交流館の運営を行うのは、ダイナックパートナーズ。主に施設の管理運営を行う会社ですが、道の駅やサービスエリアの運営も行っています。茨城県「まくらがの里こが」、岐阜県「パレットピアおおの」、奈良県「針T.R.S(テラス)」などで実績がありますね。
今回のように民間企業などが施設の運営を行う場合、「指定管理者制度」という手法が使われます。詳細は各自治体で異なりますが、運営事業者が市に代わって管理を行う制度で、多くの道の駅で導入されている制度です。近年はどこの会社が請け負うかで施設の特色も変わる傾向があり、見逃せないポイントになっています。