公開日: 2023/08/25
道の駅にハマった人はいくつかのタイプに分類されると思いますが、一番多いのは各地方で行われている「道の駅スタンプラリー」に参加したことをきっかけに、どっぷり沼にハマっていくタイプ。
期間が設けられているので、必死にスタンプを押すことを目的に短期間で各エリアを走り回ります。その後も達成感に酔いしれて更にエリアを広げて別地区のスタンプラリーに参加したり、翌年も同じエリアで参加する酔狂な人もいます。
次に多いのが旅の途中の休憩スポットとして活用するタイプ。24時間使えるトイレ、広い駐車場、併設されている温泉など、旅の行程を考える上で上手に使うことで安心して旅ができるメリットもあります。
では、私の道の駅との出会いはどんなものだったか? 実はこのいずれでもありませんでした。
道の駅に出会うきっかけとなった「道の駅旅案内全国地図」
2006年。当時地図情報会社にいた私は、顧客向けのオリジナル地図の制作などを行う部門に在籍していました。同じ部署で制作していたのが、道の駅を地図と情報で紹介する『道の駅旅案内全国地図』です。
あるとき上司に言われたのが、「お前、今日から編集長な」。
編集長なんて役職は、編集部で何年も下積みをしてからなるものだと思っていましたが、突然の指名に戸惑いを隠せませんでした。さらに、道の駅がそもそも何なのかよく分かっていない。
高速道路のSAPAやドライブインと何が違うのか?
全国にどのくらいの数あるものなのか?
誰が管理、運営しているのか?
そういった基本的なことを学ぶことから始まりました。
「好きな道の駅を仕事にできていいですね」。よく言われる言葉ですが、当時はプレッシャーに押しつぶされそうになる日々の中で、とても好きとは言い難いものでした。
とはいえ社内でただ悶々としていても良い商品は作れないと、まずは週末の家族サービスも兼ねて、近所の道の駅をめぐることから始めました。
最初は農産物や加工品を見てもどこも同じ、としか見えていません。
「やばい、これどこが面白いのか分からない」
スタンプラリーに参加したり、道の駅きっぷなどのオリジナルグッズ購入をしてもそれが変わることはありませんでした。それでも何度かめぐる中で、妻が言った一言で見方が大きく変わりました。
「あの野菜、さっきの道の駅には無かったね」
そういえば確かにそうでした。スーパーマーケットのように考えていた直売所の品揃えも、実は近いエリアの中でも微妙な差異があり、同じ種類でも品種が違っていたり、その地域でしか栽培されない地産食材のケースもありました。
胡蝶蘭の専門店があったり、謎の手芸コーナーがあったり……よく見ていくと農産物以外のものも、不思議な地域性をまとって主張してきました。そんな道の駅ごとの差を見つけるほど、次への期待は膨らみ、どんどんのめり込んでいったんです。