公開日: 2023/04/01
フォトグラファーライターの齋藤千歳です。北海道千歳市に住んでいます。
Mobility Storyでは連載【プロフォトグラファーが教える北海道の絶景「道の駅」】などを担当していますが、今回は別シリーズの冬の北海道、道東エリアを旅する方にオススメするモデルコースです。
金曜日に都内での仕事を終えた友人を新千歳空港でキャッチアップし、火曜日の昼には道東エリアの大空町にある女満別空港から見送るという4泊5日とややタイトなスケジュールながら、キャンピングカーで「ジュエリーアイス」「タンチョウ」「ラッコ」「オオワシ」「オジロワシ」「野付半島」「流氷」といった貴重な野生動物や絶景の大自然をまわる撮影旅行を計画・実行しました。
この道東の冬の絶景旅の様子を4回にわけてみなさんに紹介していきます。#2の今回は、旅の3日目です。
↓ 冬の北海道モデルコース#1はこちら ↓
新千歳空港で友人をピックアップし、翌日の朝は「ジュエリーアイス」、3日目は「音羽橋のタンチョウ」と夜明けの撮影の予定を立てていた筆者達。しかし#1でお伝えした通り、2日目の「ジュエリーアイス」を諦め、最初の朝に「音羽橋のタンチョウ」を撮影したため、3日目の朝はノープランになっていました。
そこで、道の駅「阿寒丹頂の里」でゆったりと温泉に入りながら、プランを検討したところ、「おいしい牡蠣が食べたい!」という案で合意。“北海道の牡蠣の聖地”ともいえる厚岸(あっけし)町に向かうことにしました。
厚岸町には厚岸湖という湖があります。砂嘴(さし)によって厚岸湾と隔てられた海跡湖で、厳寒期には一部が凍るため、湖岸付近が凍結した湖に朝日が昇ってくる様子を撮影できるのです。
そして、厚岸湖は北海道でもっとも有名な牡蠣の養殖湖のひとつ。朝日を撮影したあとは、近くでおいしい牡蠣を食べに行くことに。
厚岸湖の朝日は天候にもそこそこ恵まれ、掲載したような写真が撮影できました。この写真を見て「なにか変」と感じた方は素晴らしい観察眼をお持ちです。
筆者は朝日の撮影では頻繁にGND(グラデーションエヌディ)フィルターというフィルターを使っています。比較的よくみる丸型のフィルターとは異なり、角型のフィルターでホルダーを使ってレンズの前に装着する構造です。フィルター自体は透明な部分とグラデーションして明るさの異なる部分で構成されており、撮影する画面内の明るさをコントロールするアイテム。
朝日や夕日のように明るい空とその前の風景の明るさが極端に異なるシーンでは、多くのフォトグラファーが使用しています。今回の撮影予定のなかでは、朝日にきらめく「ジュエリーアイス」を撮影する際には、ほぼ必携といってもよい撮影アイテムです。
GNDフィルターなしでは、画面手前のジュエリーアイスなどに明るさを合わせると背景の空が真っ白に、空に明るさを合わせると手前の風景がまっ黒になってしまうのです。そこでGNDフィルターを使用します。
掲載した厚岸湖の朝日では、太陽の出ている部分がもっとも暗く、空の部分がある程度グラデーションしながら明るくなっていくRGND(リバースグラデーションエヌディ)フィルターを使用して、画面手前の氷の白さと背景の朝日、空の明るさのバランスを調整しています。
筆者は、いろいろ試して、使い勝手や性能などから現在のCokin NXフィルターシリーズを愛用しています。ちょっとお高いですが、朝日や夕日といった風景写真を撮影するなら角型のGNDフィルターは必須といえます。下手に交換レンズを購入するよりも大きく写真が変わりますので、ぜひお試しください。
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