公開日: 2021/07/31
15年に渡って北海道で長期の旅をしていると、周囲から「よく仕事が休めるね」と感心されることがあります。筆者の職業は、フリーランスのライター・編集者。勤め人のように有給休暇があるわけではなく、長期休暇中は基本無収入です。同業者からは、「自分なら怖くてそんなに仕事を休めない」と驚かれることもあります。
それでも、筆者が毎年2週間から3週間の長期休暇をとって北海道の旅を続けてきたのは、なぜなのか? 今回は、仕事上のリスクを承知しながらも長年に渡って旅を続けてきた理由と、旅を通して得たもの、我が家のこれからの北海道キャンプ旅についてお話します。
本連載の vol.2【15年以上続く我が家の北海道キャンプ旅「はじめの一歩」】でお話した通り、我が家の北海道キャンプ旅の「スタートライン」は、2006年までさかのぼります。筆者がそれまで勤めていた出版社を辞めて独立したのは、その3年前。長女が生まれる1週間前のことでした。
それから3年間。文字通り、死にもの狂いで働きました。2日間一睡もしないで原稿を書き続けることも珍しくなく、徹夜で原稿を書き終えてから、そのままクルマで取材現場に向かうこともありました。それでいて、仕事の谷間があると不安になり、売り上げの計算をしたり、今後の仕事のことを考えて、深夜まで眠れないことも……。生まれたばかりの長女と過ごす時間は幸せそのものでしたが、その半面で、家族を守ることのプレッシャーに押しつぶされそうになるときもありました。
そんな時に出会ったのが、キャンプでした。まったくのアウトドア未経験でしたが、妻と長女と3人で行った初めてのキャンプは本当に楽しかった! それまでは、食事をしているときも、お風呂に入っているときも、布団で横になっているときも、常に仕事のことが頭から離れることはありませんでしたが、キャンプ場で子供とはしゃいでいるときや焚き火を眺めているときは、仕事を忘れて「無心」になることができました。
そして、初めてのキャンプから1カ月後、テントやタープをミニバンに積み込んでフェリーで北海道に渡り、2週間かけて道内のキャンプ場を巡る「北海道キャンプ旅」を敢行! このときの素晴らしい経験が、筆者の人生におけるターニングポイントになりました。